行動計画編

~テーマ別に戦略を立て、具体的な行動目標を決めていこう~

行動計画は会社、部門、個人でそれぞれつくる

利益計画を立てても、その目標を実現できるかどうかは行動次第です。そこで行動計画が必要になります。
行動は、会社としてすること、部門ごとにすること、そして個人がすることと、それぞれに内容が異なります。したがって行動計画も会社、部門、個人ごとにつくります。
まず行動日標の大枠として、「何を」「どのターゲットに」「誰が」「どのように」……という「ビジョンと戦略」をつくり、大枠の数字目標(売上など)を明確にします。それを「マーケティングの方針」と「プロダクションの方針」に落とし込みます。そして、それぞれの方針を行動に移すために「戦略目標」「数字目標」「行動目標」を決めていきます。
マーケティングは、前に説明したように集客から契約にいたるまでのすべての過程です。プロダクションは契約から生産の過程を含む顧客との関わりです。
以上の作業を表にまとめると、左の図のようになります。これは部門の行動計画の場合です。会社全体、そして個人の場合も、基本的な構造は同じになります。

戦略目標をもとに数字目標と行動日標を決める

この図の例では、まず「A商品の販売」というテーマを「ビジョンと戦略」として掲げています。マーケティングの方針については、「DMの強化」「WEBサイトからの引き合いの増大」「既存顧客への新商品の販売」という3つの戦略目標を立てています(左側の列)。それぞれに対応する数字目標(中央の列)と行動目標(右側の列)がその横に並んでいます。
プロダクションの方針では「コストの削減」「品質の改善」「生産スピードを上げる」という戦略目標を立てています。それぞれ右にみていけば、対応する数字目標、行動日標がわかります。
大事なのは、このような戦略目標、数字目標、行動目標を明確にした上で、行動に移すということです。途中で目標と現実とのずれが生じたら、理由を探り、修正していきます。

Pointマーケティング、プロダクションのそれぞれ
戦略・数字・行動目標を決める。
経営のヒント
行動計画の戦略の作り方

全社的な行動計画の戦略を策定するには、いくつかのポイントがあります。

一番大きな枠組みは、どの市場を狙うのか、そしてどの商品(ないし商品の組み合わせ)で行くのかです。
これをさらに細かく落とし込むと、得意先となるのはどんな人たちか、高級品で行くのか、値頃感で訴えるのか、どこにどんな形態の店舗を展開するのかとなります。
社内的なしくみ、人員体制も考える必要があります。
利益計画と同様に行動計画でも、このような基本方針は社長が決めなければならないのです。

2012年 5月 6日

~経営数字の公開が、経営計画を成功させるカギとなる~

経営数字を示さないと社員の気持ちが離れていくことも

「オープンブック」とは、財務藷表などの経営数字を社員に公開することで、経営手法のひとつとして知られています。
経営計画におけるオープンブックは、会社の業績や利益計画の目標数値などを公開することを意味します。なかでも売上や利益など損益計算書に載っているような数字を公開するのは、経常計画が成功するかどうかを左右するといってもいいほど大切なことです。

なぜ公開するといいのでしょうか。

それは社員が会社の状況を知ることで、目標を共有するようになるからです。
今の状況がいいのか、悪いのかもわからないのに、「ともに戦おう」と社長が口でいうだけでは、社員は戦う気になりません。
知らないということで、疑心暗鬼を生むこともあります。「結局会社が儲かっていて、自分たちは働かされているだけじゃないか」などと考えるようになってしまうのです。「赤字になったら、経常数字を教えたくない」という社長の気持ちもわかります。しかし、社員が社長と経営理念を共有していて、「自分たちががんばらなければ」と思ってくれさえすれば、何の心配もいらないのです。だから会社の数字目標は全社員が共有し、部門の目標はそのメンバーで共有するべきなのです。

すべてを公開する必要はない

ただし、すべての数字を社員に公表するわけではありません。
損益計算書のなかでも、販売管理費については、たとえば毎月1000万円という形で公表し、内訳まで出す必要はありません。
社長が交際費を使ったり、あるいは思わぬ出費があったため、その合計が100万円になったとします。何のために使ったかは、社長がわかっていればいいことです。「社長が接待費を使った。コピー機を買い換えた」という内容まで社員が知る必要はないのです。
実数でオープンにできなければ、予算の合計数字のみでもOKです。貸借対照表の数字も、社員に公表する必要はありません。ただし幹部には、社長が知っている数字はすべて知らせます。

Point
社員には可能な限り会社の情報(数字)を知らせるようにしよう。
経営のヒント
オープンな態度でいますか?

上司と部下が対等な立場で、「仕事の目標」「それを達成する方法」「お客さんが抱えている不満の分析」などについて議論していますか?
本気で意見を交わせないような職場環境では、企業競争に勝ち残っていくことはできません。

自由な発言やオープンな態度で互いに接することのできる環境を育てなければならないのです。
オープンな態度というのは、上司から部下への一方通行ではなくて、相互のものであることをきちんと理解しておきましょう。

2012年 5月 6日

~社員みんなが経営に参加する風土づくりは、採用がポイントだ!~

「そこそこの社員」でもいい

会社経営には、経営理念に共感してくれる社員が必要です。そういう社員こそが「技術力のある人」よりも、会社にとってより大きな力となるのです。そもそも中小企業で「非常に優秀な人」を採用しようとしたら、大きなリスクが伴います。年収2000万円で人を連れてきても、給料分以上に働いてくれればいいのですが、見込み違いで「はずれ」のこともあるからです。
年商3億円の会社には2000万円のリスクはとれません。だから中小企業は「そこそこの人」しか集められないのです。実際に、今は求人難というより人材難の時代です。そこそこの人を集めるのも大変です。
そして、実際に成果を出すのは、価値観を共有できる仲間と一緒に仕事をするときで、気の合わない人と一緒ではダメなのです。
気の合うというのは、ここでは仕事の目標を共有できることです。その相乗効果で、社員は能力以上の力を発揮してくれるのです。

価値観が同じ人と働く大切さ

左の図のような3人がいたとします。Aさんは能力が非常に高く、会社の仕事にも非常に関心をもっています。このような人は、もちろん即採用です。
CさんはBさんより能力はありますが、会社の文化や基本的な考え方を共有できません。一方Bさんは、能力はそれほどではありません。しかし会社の価値観や社長の考え方に共感を示しています。

あなたはどちらの人を選びますか?

私なら迷わずBさんを選びます。スキルは勉強や努力次第で伸ばせます。しかし人の価値観や考え方はなかなか変えられません。
Cさんは、自分の気に入った仕事はバリバリこなしてくれるでしょう。しかし会社の文化や社長の考え方と合わないので、いずれ不平不満分子になって、ササッと辞めていきます。
Bさんは、社長やほかの社員と価値観を共有しているので、相乗効果を発揮できます。ここでいう相乗効果とは、「1+1=2」ではなく、「1+1=2以上」 の力になることです。逆に相性が悪い同士だと「1・5以下」にしかなりません。相乗効果を高めることが重要なのです。

<

Point
「社長の考えに共感してくれる人が集まれば、「全員参加」の経営が出来る。
経営のヒント
会社に合う人とは「社長と考え方が合う人」

会社の価値観は経営理念に共感してくれる人は、どうしたら見分けられるでしょう。

答えは簡単で、社長が自分と考え方が合う人を選べばいいのです。
単に趣味が同じということではありません。釣りやゴルフの話で盛り上がるということでもありません。
会社の仕事や「ミッション」に対して共感したり、お金に対する価値観などが同じだということです。

一方で社長と考え方が合わない人は、いくら「できそうな人だ」と思っても、会社に入れない方が無難といえます。

2012年 5月 6日

~セルフマネジメントノート(1)――バインダーにとじて、もち運ぶ~

もち運びしやすいつくりにして常にもち歩こう

経営計画には「利益計画」と「行動計画」の2種類があります。このうち行動計画は日々の業務活動に直接反映させるものなので、常にもち歩くべきです。
そもそも経営計画自体、つくって終わりというものではありません。机の中に放り込んだままにせずに、鞄の中にも手軽に入れられるようにするにはどうすればいいのか。そこが知恵の出しどころです。
そこで、行動計画をスケジュール表と一緒にA5サイズ (見開きA4サイズ) のバインダーにとじて全社員に配ろうというのが、この本での提案です。
いわば「携帯経営計画」です。弊社ではこれを「セルフマネジメントノート」と呼んで実際に活用しています。
スケジュール表は、毎日みたり記入したりするもので、社外にももち歩くものです。したがって「いつもみるように」といわれなくても、自然と社員が行動計画をもち歩き、目に入るようになるのです。

バインダー形式ならかさばらずに携帯できる

行動計画を一冊の本にまとめると、経営計画の会議のときしかみません。まして利益計画と行動計画を経営計画として一冊の本にまとめると、かさばって取り出しにくくなりますし、もち歩くこともできません。したがって、バインダー方式が一番便利ということになるのです。
専用のスケジュール帳をつくって、社員に配布する会社はよくあります。これもバインダー方式にすれば、自分でいろんなものをセットして使いやすいように工夫できます。
当社では狐自の林式のスケジュール表を、行動計画の最後に入れるようにしています。行動計画は、同じものを全員が同じ位置に、同じ順番でとじるようにします。
利益計画は、外に持ち出すと情報が潜れる危険があるのでバラバラにせず、A4サイズで一冊にまとめておけばいいでしょう。
なお利益計画の中でも利益目標など主要な目標数値は、行動計画の中に「利益目標」のコーナーを設けて書いておきます。

経営のヒント
社員が自分を管理する

アメリカに行くと、ホワイトカラーの生産性が日本よりはるかに高いことに気づかされます。
エグゼクティブのなると、昼休みはランチミーティングが当たり前。その代わり6時など決めた時間に仕事を終えてサッと帰ります。
それだけ自己コントロールがしっかりしています。

「セルフマネジメントノート」というネーミングには、「自分で自分を管理して生産性を上げよう」という意味が込められています。
生産性を上げるというのは、経営者的な考え方です。社員がそういう発想をするには「行動計画」が必要になるのです。

2012年 5月 6日

~セルフマネジメントノート(2)――こういう内容構成になっている~

社員名簿や年間行事カレンダーなどもー冊にまとめよう

弊社のものを参考にしながら、セルフマネジメントノートの中身をみてみましょう

バインダーはA5サイズの6穴で、クリヤーファイルや名刺ファイルつき。これ一冊に仕事に必要な情報をコンパクトにまとめておくことができます。とじ込み用紙は、社長や幹部も含めた全社員の共通ページと、個人がそれぞれ自由に使うページがあります。共通ページ全体が、スケジュール表も含めた行動計画となっています。
共通ページのパート1は社員一覧表から始まります。100人未満の会社ならべージもとらないし、メンバーが一覧できて便利です。ここには氏名、所属部署、入社年月日と勤続年数が書いてあります。誕生日(月日だけ)も入れておくと、その日に「誕生日おめでとう!」と声をかけることができます。
続いては、組織図と、会社の年間行事カレンダーです。祝祭日や休暇だけでなく、賞与が出る日や研修予定日もわかります。

会社の方針、ルール、スケジュール表がびとつに

パート2は「今期の方針」と「経営理念」です。「今期の方針」は、単年度目標の大枠を示したり、その年の全社的なキーワードを載せたりします。「経営理念」は、何度か紹介したとおり「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の3つです。
前項で紹介したような戦略目標、数字目標、行動目標をここに入れてもいいでしょう。
パート3は「基本的ルール」です。内容は、電話のとり方、会議のルール、インターネットの使い方のルールや、委員会活動、「ご法度」集など、社員なら当然知っていなければならない共通のルールを明記しています。
パート4はスケジュール表です。単なるダイアリーではなく、そのときの行動目標も書き込めるようになっています。
このように、社員が知るべきすべてを一冊にまとめてあります。なおパート1とパート4は白、パート2が青、パート3はピンクというように、用紙の色を変えるなど使いやすい工夫をしています。

Point
「「基本方針」「経営理念」「ルール」「情報」「スケジュール表」などを一冊にまとめよう。
経営のヒント
社員の時間単価を出してみる

社員が月30万円の給料をもらっているとします。限界利益を仮に人件費の3倍と考えると90万円です。
この利益を得るために必要な時間単価を計算すると、月20日出勤で1日8時間労働として約5600円です。

ここで社員に自分の仕事内容を振り返ってもらいましょう。
1時間5000円以上のお金を出して雇いたいと思うようなことをしているのか、と。
「自分で自分を雇いたくない」と思うようなら、セルフマネジメントノート=自己管理が不足しているのです。
もっと生産性を上げてもらうようにしましょ。

2012年 5月 6日

行動計画編
四半期決算ごとに見直しをする
行動は自分で管理する
会社のルールは常に確認を
社長の考えを社員に浸透させる
一冊にすべての情報を集める
携帯できる経営計画をつくろう
全員参加の経営計画を進めよう
「オープンブック」で目標の共有を
行動計画のつくり方はこうする

一覧

一覧

一覧

一覧

書籍・刊行物紹介

88,000円~経営計画策定 経営計画Light

メールでのお問い合わせ