~月ごと、年ごとの売上推移では、みのがしがちなものもある~

年計表で視覚的に動きを理解する

経営に関する数字は、その多くが決算のために出したものです。売上や諸経費は各事業年度単位で算出し、新年度が来るとまたゼロからのスタートとなります。ところが年度単位でなくて、月ごとの動きや、長期的な傾向をみたい場合もあります。たとえば売上を1年ごとでなく1カ月ごとに区切ると、短期的な増減がわかります。
次に、その月までの直近12カ月の数字を合計して、月順に並べてみます。1月分は前年2月から今年1月までの合計、2月分は前年3月から今年2月までの合計……ということです。それを折れ線グラフにしてみます。
このようなグラフを年計表といいます。年計表では事業年度に関係なく、過去1年間の実績がどのように推移しているかの動きがわかります。1ヵ月ごとの短期の表だと今月は増えた、その翌月は減ったと一喜一憂することになりますが、年計表では今上昇中なのか、下降中か、横ばいかという中長期的な傾向がみえてくるのです。

 

傾向に合った対策をとろう

左の2つの表を比べてみます。上の表では、AとBという2つの商品が売上を競っていますが、どちらもCの商品よりは常に多くなっています。ところが、下の年計表をみると、Aは徐々に売上が下がっているのに対して、Cはずっと上昇傾向を続けていることがすぐにわかります。またAの商品はピークを過ぎ、代わってCがこれから主力商品となりつつあると推測できるのです。
商品の売上高だけでなく、いろんなものを年計表にできます。人件費、販売管理費、固定費、借入金、リース料支払いなど、費用の傾向も視覚的にとらえることが可能です。
年計表の形は、上昇や下降、横ばいだけでなく、いきなり落ちてまた上昇傾向に入るなど、いくつかのパターンがあります。たとえば過去に営業所を減らしたりしたことがあると、人件費や固定費にその影響が出ているのを如実にみてとることができます。
大切なのは、表が変化した理由を考えて対策をとることです。たとえば、主力商品の売上が少しでも下落傾向に入ったら、次の商品開発を始めなければならないのです。

Point
年計表をつくることで、長期的な傾向が視覚的にわかるようになる。
経営のヒント
年計表は長期にわたってみる

年計表にしても、前の項で紹介した借入金やリースの計画書にしても、会社の内部資料としてつくるので、決算書のように公表する義務はもちろんありません。
特に件計表は何を自分たちが知りたいかによっていろんな内容のものがつくれます。
1年分だけでなく、3年、5年と傾向をみていくことが大切です。

また、過去1年分の累計数字の代わりに過去5年分、10年分……を合計した数字を表にすると、より長期にわたった大きな変化の様子がわかるようになります。

2012年 5月 6日

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