~社長が決められるのは、会社の利益だけではない~

会社に利益を残すのは得策か?

自分の役員給与を抑えて会社にお金を残すのか、自分の役員給与を上げて個人にお金を残すのかを考えてみましょう。会社に残した利益も個人の資産も、中小企業の場合は同じようなものです。なぜなら、銀行などから借入する場合、必ず銀行は個人保証を求めてくるからです。つまり、会社にお金がなくなれば、個人で手当てしなければならないのです。
ところで、利益というのは儚いものです。わかりやすく説明するために例をあげると、仮に利益の半分に税金が課せられるとします。毎年2000万円ずつの利益を出しても会社に残るのはその半分の1000万円で、5年間で5000万円のキャッシュがたまります。
ところが6年目に5000万円の赤字が出てしまいました。5年間かけてためてきた5000万円がまるごと、その期でなくなってしまいます。

利益のバランスを常に意識する

同族会社や規模の小さい会社の場合、社長は会社の利益と役員給与を込みにして「差配できるお金」とみることができます。
会社の利益には法人税、個人の給与には所得税がかかります。法人税と所得税は税率が違いますから「差配できるお金」をうまく振り分けることによって、会社に残るお金の合計額を最大化することができます。
もちろん会社がお金を必要としているときは、それとは関係なく利益を優先しなければなりません。つまり、いつも会社に利益を残そうとしたり、逆に社長の給与をできるだけ多くしたりする発想ではなく、利益額の少ないうちは、両方のバランスを考えるべきだということです。個人の収入だけを考え、いつも会社の決算を赤字すれすれにしていたら、会社のお金に余裕がなくなります。そして前述のように5000万円の赤字が出たときに、きっと倒産してしまうでしょう。
結論をいうと、少しでも会社に資産や資金を残すことをお勧めします。なぜなら、社長や役員といえども人間です。一度懐に入れたお金は、会社に戻しにくいものです。おそらく何かに化けたり消えたりしていて、会社に何かあったときにすぐに現金を用意することがむずかしくなってしまうでしょう。

Point
会社の利益と社長の給与はバランスを考えて配分しよう。
経営のヒント
「税金のがれ」とみなされる行為をしない

役員給与と事業利益を分けるときに、気をつけなければいけないのは「租税回避の行為」、要するに税金のがれとみられないようにすることです。

特に同じ事業年度の途中で役員給与を変える場合は、注意が必要です。
予想以上に儲かったからと途中で役員給与を増やすと、税務署には事業利益を圧縮して税金を減らそうとみなされてしまいます。
途中で役員給与を減らすこともできるので、最初に高めの給与にしておいて、後で会社の利益との兼ね合いをみてもいいでしょう。

2012年 5月 6日

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