「やめる決定」も社長が下す
経営計画づくりにおける社長の役割は、全社的な方向性や戦略(誰に対して何をどうやって売るかなど)と、数字目標(利益目標額など)を決めることです。これができるのは社長だけです。
もし多数決で会社経営ができれば、社長にとってこんな楽なことはありません。でも、「この商品が売れると思う人は?」と聞いて9割が賛成したから売れる、というものではありません。1割しか賛成しなかったけれども、ヒットした商品はいくらでもあります。
もちろん、社員を含めていろんな人の意見を聞くことは大切です。しかし、自分の経験や会社のミッション、ピジョンを踏まえて、最後に決断を下すのは、やはり社長です。ですから、経営計画細目を多数決で決定するということはあり得ません。
もうひとつつけ加えれば、「やめる決定」を下すのも社長の役割です。何かを始めようという提案は社員も出しやすいのですが、商品の販売中止とか、部門や部署の廃止を社員からはいい出しにくいものです。ましてや、その決断を下すことは無理です。こういう
「マイナスの決定」は、社員でも幹部でもなく、社長自身がしなければなりません。
何をするかを部門単位で決める
社長が全社的な方向性や戦略と数字目標を決めたら、次は幹部社員に発表します。そして、社長と幹部たちの問で意思統一ができたら、全社員に来期の経営計画のもととなる経営方針を発表します。これを事業年度が始まる2〜3カ月前に行います。
幹部は、まず全社員に経営方針を発表する前に、社長が示した全社的な戦略や目標に基づいて、自部門の戦略や目標をとりまとめます。このときに他部門の幹部とも相談します。
次に各部門の予算がまとまったら、幹部は社員と一緒になって自分たちの個々の目標ややるべき行動を考えて決めていきます。ここでは幹部がリーダーシップを発揮します。
リーダーシップというのは、目標に向かって社員のモチベーションを高め、動機づけをしていくことです。もちろん社長は全社員に対して、このようなリーダーシップを発揮していく必要があります。