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もっと儲かる経営計画の作り方
『経営計画』


● 図解で利益の伸ばし方をわかりやすく解説
● 経営理念の立て方、計画を実行するための秘策が満載
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もっと儲かる経営計画の作り方 『経営計画』
価格:1,260円


Part1 経営入門編

「まじめにコツコツ」だけでは会社にお金は残らない

 多くの中小企業の経営者は「こんなにがんばっているのに、なぜお金が残らないのだろうか?」と思っているのではないでしょうか。
 会社が提供している商品やサービスが世の中に受け入れられて、そこから適正な額の収益が得られるはずなのに、なぜかお金が残らない。だとすれば何か原因があるはずです。「まじめにコツコツやってさえいれば、お金は後からついてくるものだ」と考える経営者もいると思います。もちろんまじめにがんばることは大切なことです。しかしながら、まじめにやっているだけではお金はついてきません。むしろ計画なしにただ動き回ると、大きなロスが生じる可能性も高いのです。

さらに詳しく⇒『【1-1】 会社経営には「計画」が必要だ

会社は「果実」を実らせる木だ

 経営計画は、会社がお金を生むために立てるものです。ところが「儲け」のことばかりに執着すると、逆に会社にお金が入ってこなくなってしまいます。なぜでしょうか。
 会社を「果実のなる木」と考えてみましょう。果実は「商品やサービス」であり、果実をお金に換えることで会社が成り立ちます。
 果実が実るには、もちろん枝や幹や根も欠かせません。これらを合わせたものが「果実のなる木」です。枝も幹も根も、すべてを成長させることを考えなければなりません。
「儲け」のことばかり考えるのは、枝や幹や根のことは放っておいて、果実をたくさん採ることだけを考えるようなものです。あるいは果実を本来の価値と無関係に高く売りつけようとすることです。根や幹や枝があってはじめて果実が実るのです。そのことを忘れると肝心の果実が実らなくなってしまいます。

さらに詳しく⇒『【1-2】 3つの戦略を軸に計画を作る

人は無意識に利益計画を立てて行動している

 たとえば、あなたがお金をためて車を買うとします。100万円の車を手に入れるには、手元にそれだけの自由に使えるお金が必要です。お金をためている間も家賃はかかるし、衣類や食費にもお金はかかります。
 現在、貯金がゼロで、生活費が年間250万円かかるとします。すると、1年後に100万円の車を買うには年間の手取り給料が350万円である必要があります。
 このように個人の場合でも、手元に残すお金(100万円)が決まると、必要な収入(350万円)がみえてきます。学生がアルバイトでお金をためるのなら「車を買うために100万円ためる」→「生活費などを年250万円以内に収める」→「1年間働いて350万円以上稼ぐ」という計画を立てることが必要です(右の上図)。

さらに詳しく⇒『【1-3】経営計画は利益計画である

計画と実績のずれをチェックする

 船は航海をするのに航路がわからなかったら困ります。位置関係を把握できるナビゲーションシステムがあってはじめて、航路を見失わずに運航できるようになっているのです。
 同じように、企業活動をナビゲートしてくてれるが「経営数値」になります。経営数値をみることによって、自分の今いる位置がわかるからです。経営数値がナビゲーションシステムで得られる位置情報とすれば、経営計画は海図に描かれた予定航路です。予定とのずれをチェックして軌道修正をすることで、船は目的の港に到着できるのです。企業も同様に、計画とのずれをチェックし、修正しなければなりません。
ところが、せっかく経営計画をつくっても、発表しただけで終わりとか、社長一人が予算だけつくって手帳に書いて終わりなどという例が少なくありません。経営計画を社内で発表したら、社長はもちろん、社員全員がそれをいつも確認するべきです。ずれや迷いが生じたときには、常に経営計画に立ち戻るようにしましょう。

さらに詳しく⇒『【1-4】経営計画は数字だけではない

経営計画づくりには社員会員が参加する

年度はじめに社長が経営計画を大々的に発表し、さあ、このとおりに動け―というようなケースを聞くことがあります。一方的に押しっけられた社員は反発するか、いわれたとおりやればいいんだろうと自分で何も考えないまま行動する。配られた経営計画の中身もろくにみない。これではせっかく経営計画をつくっても、目標達成はむずかしいでしょう。
 なかには経営計画を社員に毎朝読むことを強制したり、中身を把握していない社員に対してはマイナス査定を考える社長もいます。しかし、それでは本末転倒です。社長がいわなくても、社員がおのずと経営計画をみるようにならなければなりません。
 なぜ失敗したのか。社長が一人でつくってしまったからです。社員も一緒に経営計画をつくれぼいいのです。それによって社長と社員全員が経営計画を共有することができ、その目標を達成したときには、喜びを分かち合うことができるのです。

さらに詳しく⇒『【1-5】計画で失敗するパターンは?

社長の熱き思い≠示すのが経営理念だ

経営計画の中に必ず入れるべきものに「経営理念」があります。
 しかし、まわりの人に「経営理念って何ですか?」と聞いたら、全員から違った答えが返ってくるでしょう。それぐらい経営理念についての認識はあいまいなものです。
 実際に「経営理念なんて必要ないよ」という社長さんもいるでしょう。
 経営理念とは、社長の熱き思いを言葉にすることです。言い換えれば、たとえ状況が変化しても変わることのない、企業活動の基本となる考え方を表したものです。
 実際に経営理念がなくても、機能している会社はたくさんあります。
 たとえば社員がせいぜい数人程度、あるいはメンバーの入れ替わりもなく、十年一日の如く同じことをしているような、成長しなくてもやっていける会社です。
 長年の経験からメンバーの意思統一もとれているのなら、経営理念を文字にする必要はありませんが、残念ながらそのような会社はまれだといえるでしょう。

さらに詳しく⇒『【1-6】なぜ経営理念が必要なのか

何によって社会に貢献するか

 経営理念は、次の3つの要素から成り立っています。

・ミッション……会社の基本的役割、使命
・ビジョン……将来の会社の姿や目指す方向
・バリュー……価値観や考え方

 これらを明文化していない会社もたくさんあります。しかし、そういった会社が継続的に成長し続けるのはむずかしいでしょう。3要素を解説すると、ミッションは、その会社が何のために存在しているかということになります。必ずしも今やっている業務のことではなく、その業者を通じて、どのような役割を果たすのかという根源的な意味です。
 次に、3年後、5年後、そして10年後に何を達成するのかという、将来におけるミッションの到達点を示すのがビジョンです。つまり、ミッションを明確にしていくと、将来のあるべき姿であるビジョンを描くことができるようになるのです。
 そしてバリューとは、そこに集う社員たちの共通の価値観です。その集合が企業文化となります。

さらに詳しく⇒『【1-7】経営理念の3要素とは

ゴールがあることで人が集まってくる

 経営理念だけでは、経営計画の目標は達成できません。経営理念を現実のものとしていくには、左の図のような過程をたどる必要があります。つまり、人は「ミッション」や「ビジョン」により集まってきます。何をやるのか、将来どうなるのかということが企業の原点に必要です。もちろん、それだけでは継続して黒字企業を維持することがむずかしくなります。そのため、そこに集う人と人の間の共通の価値観、つまりバリューが必要になってきます。しかし、これだけでは烏合の衆となり、何に、どのように、どれくらいの力を割いてよいのかさえわかりません。
 そこで、ミッションをいかにして実現するのか、すなわち「戦略」を考えます。マーケティング戦略、プロダクション戦略、アカウンティング戦略……と、ミッションを達成するために、その時々に必要なことを考え、戦略を立てていきます。
 そして最後に、目にみえる目標である「ゴール」を示す必要があります。ここでのゴールとは、単年度の目標のことです。ここまで明確になってはじめて、経営理念が大きな影響力をもつのです。

さらに詳しく⇒『【1-8】理念を実現するために必要なこと

経営計画は年単位で進める

 経営計画には3年、あるいは5年くらい先までみすえてつくる中期経営計画もあります。しかし、その場合でも、まずは単年度計画を立てるのが基本です。
 わかりやすいように、1月から事業年度が始まる会社(12月決算)で話を進めます。
 1月の新事業年度が始まるときに、その年の経営計画を発表します。その2カ月から3カ月前に、社長は「来期はこれを目標にするぞ」という大きな経営方針を発表します。それに基づいて社員が、部門別の目標や個人目標、あるいは具体的な戦術を立てます。経営計画は社長だけでなく、社員も含めてみんなでつくるものだからです。それから部門間で計画や目標のすり合わせをして、全社の経営計画としてまとめ上げ、1月に発表します。
 新しい事業年度がスタートしたら、3月末から4月はじめに経営計画の進み具合の確認と見直しをします。この反省会や検討会は四半期ごとに行います。
 このような年間スケジュールで、経営計画を進めていくようにしましょう(右の図参照)。

さらに詳しく⇒『【1-9】年間スケジュールを立てよう

「やめる決定」も社長が下す

 経営計画づくりにおける社長の役割は、全社的な方向性や戦略(誰に対して何をどうやって売るかなど)と、数字目標(利益目標額など)を決めることです。これができるのは社長だけです。
 もし多数決で会社経営ができれば、社長にとってこんな楽なことはありません。でも、「この商品が売れると思う人は?」と聞いて9割が賛成したから売れる、というものではありません。1割しか賛成しなかったけれども、ヒットした商品はいくらでもあります。
 もちろん、社員を含めていろんな人の意見を聞くことは大切です。しかし、自分の経験や会社のミッション、ピジョンを踏まえて、最後に決断を下すのは、やはり社長です。ですから、経営計画細目を多数決で決定するということはあり得ません。
 もうひとつつけ加えれば、「やめる決定」を下すのも社長の役割です。何かを始めようという提案は社員も出しやすいのですが、商品の販売中止とか、部門や部署の廃止を社員からはいい出しにくいものです。ましてや、その決断を下すことは無理です。こういう
「マイナスの決定」は、社員でも幹部でもなく、社長自身がしなければなりません。

さらに詳しく⇒『【1-10】社長と幹部の役割は?

密室で経営計画をつくるな

 決算書など会社の資料を社長が会計事務所にもち込み、パソコンを前に税理士さんが売上や利益をはじめ、さまざまな目標数倍を決めてしまう―――。こういう経営計画のつくり方は、絶対にしてはいけません。

 まず第一に、経営計画は会計事務所でつくるものではなく、社長と社員が一緒につくるものです。その中で全社的な戦略や目標を社長が決めるのであって、会社経営に携わっている社長を差し置いて、会計事務所が勝手に数字目標をつくることは本来不可能です。

 会計事務所が勝手につくった、細かい数字の並んだ売上計画表などを社長が受け取っても、何の意味もありません。それこそ社員はもちろん、社長自身も、経営計画を二度とみなくなってしまうでしょう。基本は、会社内で予算数字をつくるべきです。売上計画などは、決算書のように1年で終わりということではありません。毎年引き継いでデータを蓄積する必要があるので、経営計画専用ソフトなどを導入するのもよいでしょう。

さらに詳しく⇒『【1-11】会計事務所との関係は?

責任と権限を明確にする

 経営計画で忘れてならないのは、会社の組織図をつくることです。「うちは数人しかいないから」と思わないでください。社員が3人以上であれば、組織図は必要です。
 組織図をつくることによって、誰が誰のサポートをするのか、各部門の目標は何なのか、などがわかります。しかし組織図づくりは、部門を書き出して線でつないで終わりではありません。各部門や個人がどのような権限をもち、責任を負っているのかを明らかにすることが目的です。
 ですから組織図をつくるときに、部門や個人の責任と権限についても合わせて書き出していきます。また、組織図や「職務記述書」のような文書は、現状に沿って毎年つくり直していく必要があります。

※職務記述書とは、各人の職場の目的や目標、仕事の範囲を書いたものです。

さらに詳しく⇒『【1-12】組織図をつくり、立場を明確に

縦横のマトリクス組織にする

 経営計画は、部門最適ではなく、会社の全体最適を求めるものです。中小企業の場合、縦割りの部門別組織では、全体最適を担当する専任部門がありません。
 そこで部門横断の全社的な組織として「経営委員会」(または「経営計画作成委員会」)をつくります。社員全員で経営計画に取り組むことを示すことによって、部門間の壁を取り除くのです。
 会社のそれぞれの部門は、自分たちのミッションや利益を達成することを第一目標にしています。そうすると会社全体のミッションや利益が社員にみえなくなり、部門の間には壁が出きかねません。だから社員が10人以上になったら、目的に沿った横断型の委員会をつくるべきなのです。
 たとえば「採用委員会」をつくり、各部門から集まったメンバーが採用担当を兼務します。実際に入社希望者は、その会社に入るかどうかを、電話に出た人の応対や会社の雰囲気で決める場合も少なくありません。そのためにも、各部門に採用委員会のメンバーがいるようにして、社員全員が採用について自覚する必要があるのです。

さらに詳しく⇒『【1-13】10人以上の会社は委員会制に

単年度計画の前に経営理念を固める

 経営計画づくりでは、どんなことを決めていくのでしょう。「経営計画の基本体系」として左の図にまとめてあります。
 最初に、単年度計画の作成に入る前に、会社の活動の前提となる経営理念を確立しておかなければなりません。
 まずミッションとバリューを言葉にしてください。自分たちの基本的な考えや、何のために存在しているのかを明らかにするためです。
 経営理念のうち、バリューは一度確立したら骨格は変わらないものです。ミッションも会社の存在理由や社会とのかかわり方が変化しない限り、変わることはありません。
 それをもとに、将来こうなりたいという「中期経営ピジョン」を決めます。数字目標を決めるのは利益、売上、社員数ぐらいで、あまり細かく設定する必要はありません。
 ピジョンは、長期ビジョンや短期ビジョンもあっていいのですが、ここでは5年後に向けた中期経営ビジョンの作成としました。毎年少しずつ5年後のビジョンを変化させて策定します。その中で、「経営環境の分析」をします。自分たちが得意としていること、さらに今、どんな課題に直面しているかを確認します。ここで重要なのは、自分たちの事業の将来をしっかり把握することです。今、5億の事業をしていて、将来30億の会社にしたいのであれば、大きく事業指針を変えなくてはならないということもみえてきます。

さらに詳しく⇒『【1-14】経営計画に必要な項目とは?

黒字経営の3原則

 経営計画をつくる上でのキーワードは、マーケティングとプロダクションとアカウンティングを相互に作用させることです。
 マーケティングとは顧客を呼び込み、契約にいたらせることです。プロダクションとは生産におけるすべての機能で、マーケティングのあとを引き継ぐ行為です。つまり、販売に始まり、顧客との関係継続を通して問わりあう機能のことです。アカウンティングとは会計のことで、ビジネス全分野から経営者が必要とする情報を収集する機能のことです。
 熾烈な市場競争の中で、絶対に忘れてはならないのがマーケティングです。製品をつくるスケジュールは立てても、マーケティング機能がなければ、商品を世に知らしめたり、売上を伸ばしたりすることもできません。マーケティングとは「お客さんを自分のビジネスの入り口まで連れてきて、契約にいたるまでのすべての過程」 のことです。お客さんは空から降ってくるわけではありません。いかにしてお客さんを集め、契約にいたらせるかを経営計画での重要課題のひとつにしましょう。

さらに詳しく⇒『【1-15】「マーケティングの3原則」とは

会社の利益を損なコミュニケーション不足

 マーケティングが「お客さんを入り口まで足を運ばせて、契約にいたらせる」機能であるとすれば、プロダクションはその後を引き継ぐ機能です。定義としては「最初の売買成立に始まり、その後の顧客との関係全般にわたる活動すべて」となります。顧客と継続的な関わりをもつための活動や、商品生産とそれに関わるすべての過程が含まれます。
 プロダクションを考えるときに忘れてはならないのが、「利益を生むための作業」であるということです。そして利益を生むことができるかできないかを左右するのは、そこに関わる人間のコミュニケーションカです。
 顧客が望んでいるものと関係なく、生産部門が勝手に考えてものをつくり始めたら、利益は損なわれます。顧客と営業担当の間、あるいは社内の営業部門と生産部門の間でコミュニケーションがとれていないときに、このような問題が発生します。そして問題が経営者層に伝わらないと、いつまでたっても改善されないのです。
 顧客との関係、社員同士の関係、部下と上司の関係、社長と社員との関係、すべてが利益と直結しているのです。

さらに詳しく⇒『【1-16】「プロダクションの3原則」とは?