固定費と変動費を分けて考える
利益計画で、利益を決めてから売上へと数字を積み上げていく手順を詳しく説明します。まず会社に利益をいくら残すかを社長が決めます。判断基準は前期までの決算数字のほか、いつまでにどんな会社にしたいかというピジョン、投入する商品、販売戦略などです。
営業外損益が少なければ、経常利益と営業利益のどちらをみてもほぼ同じです。ただし、金利収入、借入金返済やリース科などがあれば、その予測をします。次に費用を予測します。費用は売上高に伴って変化する変動費と、売上が変動しても変わらない固定費に分かれます。まず先に固定費の予想から行います。
固定費の中で多くを占めるのは人件費なので、これを最初に決めます。過去の人件費をもとにして来期の人件費を予想しますが、特に採用数や退職者が増減する予定がなければ、人件費はそう大きく変わらないはずです。なお人件費には、役員給与が含まれています。前の項で述べたような会社の利益と社長の給与の調整をするときは、社員の人件費と社長の給与を分けて数字を出す必要があります。
変動費の大半は仕入費用
人件費以外の固定費は地代家賃、水道光熱費、減価償却費などです。これらを予測することはむずかしくありません。
ただし、広告宣伝費は一時的に支出が増えることがあるので、来期の予定に合わせて予想数値を入れます。
利益の予想と固定費の予想が出れば、限界利益(租利)が出ます(限界利益については106ページ参照)。
次に変動費ですが、これは仕入が大半を占めます。同じ品物であれば、売上に対する仕入額の比率は基本的に変化しません。そこで、求めた限界利益と売上と仕入の比率をもとに、仕入額と売上額を算出します。
左の図の利益計画シミュレーションでは、3つのパターンを出してみました。
なおこの作業は社員に潅営計画を発表する2〜3カ月前、つまり決算前に行います。今期の決算実績はまだ固まっていないので、予測値を使ってシミュレーションをしましょう。