限界利益をもとにした売上と経費の図を活用しよう
限界利益という概念について106ページで触れましたが、これを使うと「変動損益計算書」というものがつくれます。
決算書の損益計算書としくみは同じですが、出てくる項目が「売上高」「変動費」「限界利益」「固定費」「経常利益」である点が異なります。
変動損益計算書を図式化すると「ストラック図表」(左の図)と呼ばれるものになります。この方が変動損益計算書よりも視覚的に把握できて理解しやすいので、ストラック図表についての解説をしていきます。
ストラック図表では、まず売上高を変動費と限界利益に2分します。限界利益はさらに固定費と経常利益に2分します。固定費をより細かくみるときは「人件費など」「一般経費など」「金利など」「研究開発費など」に区分けします。
この図表をみると、売上高から変動費を引いたものが限界利益であることがすぐにわかります。限界利益の中で固定費が占める比率が大きいほど経常利益が圧迫されていくことも、感覚的に理解できるでしょう。
固定費が増えていった結果、限界利益と同じ額に達したとします。すると経常利益はゼロになります。これはストラック図表の固定費と経常利益の境目の線が、損益分岐点になっているからです。このとき、変動費と固定費の合計は売上と等しくなっていることもわかります。
固定費が限界利益を超えた場合(別のいい方をすれば、変動費と固定費の合計が売上高を超えた場合)は、利益が出るどころか逆に赤字になります。 また、固定費の中の「人件費など」が限界利益に対してどれぐらいの割合になっているかをみることで、労働分配率も計算できます。限界利益の中で人件費の占める比率が労働分配率だからです。
ほかにも変動費率(売上高に対する変動費の比率)、経常利益率(売上高に対する経常利益の比率)もすぐに出すことができます。