固定費が図の下にはみ出したら会社は赤字
ストラック図表を描いてみると、いくつかのパターンに分けられます。
理想的なのは、変動費も固定費もそれほど多くなくて経常利益がしっかり確保できている場合です(左の図の@)。もちろんきっちり黒字を出しています。
ところが変動費はそのままで、固定費が多くなっていたとします。そしてついに固定費が限界利益と同じになって経常利益を食いつぶしてしまった状態が、左の図のAです。損益分岐点が囲の一番下まで達し、売上高と等しくなっています。決算上は黒字でも赤字でもない状態で、このとき前項で紹介した「収益率」は100%になります。
さらに固定費の比率が大きくなって限界利益を超えると、赤字会社になります(図のB)。中小企業の場合、固定費が多くなる理由として最も多いのは人件費が多くなっていることです。こんなときは労働分配率(104ページ)を計算して、人件費が増えすぎていないかどうかを確かめます。
問題点を知るためにストラック国表を描く
売上高に占める変動費の比率が大きくなると限界利益が小さくなり、損益分岐点を下方向に押し下げます。変動費が多い理由としては、調達原価の上昇などがあります。
変動費と固定費が両方とも多くて赤字になったら、何のために会社をやっているのかわかりません。新設法人で初期投資がかかるなど、一時的な要因で解決のめどが立つのならともかく、そうでなければ、会社を続けるかどうかも再考した方がいいような状態です。
黒字で利益が出ているうちは、変動費、あるいは固定費が多くても、問題は表面に出てこないものです。しかしながら、とりわけ費用がかかっている部分の原因を探り、見直しをすることでさらなる改善を図ることができます。
赤字会社の場合は、ストラック図表を描いてみることで、何に問題があるかがみえてきます。変動費が多ければ仕入か外注加工費の見直しを、固定費が多ければまず人件費の見直しから始めてみましょう。