利益計画編

~借入金とリースを一覧表にして、月々の支出額を明確にしよう~

借入金返済とリース料支払の計画一覧表でキャッシュを把握

借入金返済とリース科支払いに関しては、1年間の支出予測額を出すだけでなく、月別借入金計画書を事業年度の最初につくると便利です。
銀行ごとの借入金の明細書はあっても、それを1本化している会社はほとんどありません。しかしそれでは、どの月にどれだけのお金を返済に回さなければならないかがわかりません。
先々の返済予定が不明だと、会社全体の資金計画を立てにくくなります。ですから経営計画の一環として、月ごとの返済額がわかる計画書をつくることが望ましいのです。
ポイントは月ごとの借入金残高の合計、返済額の合計、支払い利息の合計の3つです。返済額の合計がわかると、その月の会社のキャッシュフローも把握しやすくなります。
新たに借入をする計画があれば、その月から返済額の合計が増えます。逆に返済が完了した後は、資金繰りが楽になります。
あるいは一時的に返済が重なったら、ほかで出ていくお金を抑えたり、返済が少ない時期には、ほかのことにお金を回したりなどの計画が立てられるようになります。

支払い状況がひと目でわかれば新たなリース契約が立てやすい

リース科支払いも同じようにひとつの表にまとめることで、毎月の支払い額のリース残高合計がわかります。
決算時には、リース全体の数字を一覧表にします。どんなリースを利用しているか、その合計はいくらかがひと目でわかる表をつくることによって、月々必要となるお金がいくらかもわかるからです。
今は月々合計30万円のリース代金を払っていても、6カ月後には20万円に減ることがわかるかもしれません。
その分新たなリースを始める計画を立てたり、借入をしたりすることができます。
あるいは設備や物品を購入するのであれば、6カ月後まで我慢すれば、資金ショートしなくてすむという予測も成り立つのです。

Point
複数の借入金やリリースを一覧表にまとめて、キャッシュフローの確認を
経営のヒント
リースにすると、ここが便利!

100万円の設備を購入すると、当然のこととして100万円の現金がなくなります。
しかし、その年の経費として落とせても、せいぜい10万円から20万円程度で、70数万円は減価償却資産として計上されてしまいます。

ところがリースを組むと、100万円の支払いが月々2万円たらずで済む上に、支払った額はそのまま経費として落とせます。導入した設備の所有権はリース会社にあるので、会社の資産にも計上されません。
ただし、レンタルではないので、途中でやめたいと思っても残金は払い続けねばなりません。

2012年 5月 6日

~月ごと、年ごとの売上推移では、みのがしがちなものもある~

年計表で視覚的に動きを理解する

経営に関する数字は、その多くが決算のために出したものです。売上や諸経費は各事業年度単位で算出し、新年度が来るとまたゼロからのスタートとなります。ところが年度単位でなくて、月ごとの動きや、長期的な傾向をみたい場合もあります。たとえば売上を1年ごとでなく1カ月ごとに区切ると、短期的な増減がわかります。
次に、その月までの直近12カ月の数字を合計して、月順に並べてみます。1月分は前年2月から今年1月までの合計、2月分は前年3月から今年2月までの合計……ということです。それを折れ線グラフにしてみます。
このようなグラフを年計表といいます。年計表では事業年度に関係なく、過去1年間の実績がどのように推移しているかの動きがわかります。1ヵ月ごとの短期の表だと今月は増えた、その翌月は減ったと一喜一憂することになりますが、年計表では今上昇中なのか、下降中か、横ばいかという中長期的な傾向がみえてくるのです。

 

傾向に合った対策をとろう

左の2つの表を比べてみます。上の表では、AとBという2つの商品が売上を競っていますが、どちらもCの商品よりは常に多くなっています。ところが、下の年計表をみると、Aは徐々に売上が下がっているのに対して、Cはずっと上昇傾向を続けていることがすぐにわかります。またAの商品はピークを過ぎ、代わってCがこれから主力商品となりつつあると推測できるのです。
商品の売上高だけでなく、いろんなものを年計表にできます。人件費、販売管理費、固定費、借入金、リース料支払いなど、費用の傾向も視覚的にとらえることが可能です。
年計表の形は、上昇や下降、横ばいだけでなく、いきなり落ちてまた上昇傾向に入るなど、いくつかのパターンがあります。たとえば過去に営業所を減らしたりしたことがあると、人件費や固定費にその影響が出ているのを如実にみてとることができます。
大切なのは、表が変化した理由を考えて対策をとることです。たとえば、主力商品の売上が少しでも下落傾向に入ったら、次の商品開発を始めなければならないのです。

Point
年計表をつくることで、長期的な傾向が視覚的にわかるようになる。
経営のヒント
年計表は長期にわたってみる

年計表にしても、前の項で紹介した借入金やリースの計画書にしても、会社の内部資料としてつくるので、決算書のように公表する義務はもちろんありません。
特に件計表は何を自分たちが知りたいかによっていろんな内容のものがつくれます。
1年分だけでなく、3年、5年と傾向をみていくことが大切です。

また、過去1年分の累計数字の代わりに過去5年分、10年分……を合計した数字を表にすると、より長期にわたった大きな変化の様子がわかるようになります。

2012年 5月 6日

利益計画編
年計表で増減の傾向をつかむ
借入金とリースの計画表をつくる
利益計画の数字づくりは?
利益計画のシミュレーションを
利益計画は役員給与も念頭に
目標数値は「利益」から決める
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