会社は「果実」を実らせる木だ
経営計画は、会社がお金を生むために立てるものです。ところが「儲け」のことばかりに執着すると、逆に会社にお金が入ってこなくなってしまいます。なぜでしょうか。
会社を「果実のなる木」と考えてみましょう。果実は「商品やサービス」であり、果実をお金に換えることで会社が成り立ちます。
果実が実るには、もちろん枝や幹や根も欠かせません。これらを合わせたものが「果実のなる木」です。枝も幹も根も、すべてを成長させることを考えなければなりません。
「儲け」のことばかり考えるのは、枝や幹や根のことは放っておいて、果実をたくさん採ることだけを考えるようなものです。あるいは果実を本来の価値と無関係に高く売りつけようとすることです。根や幹や枝があってはじめて果実が実るのです。そのことを忘れると肝心の果実が実らなくなってしまいます。
根・幹・枝も大事にする
では「果実のなる木」の「根」とは何でしょうか。それは「責任」を果たすことです。
食品会社なら安心して食べられる製品をつくること。航空会社なら安全に飛行機を飛ばすこと。これらはお客さんや社会に対しての当然の責任であり、まさに会社と社会をつなげている根″です。
根っこに支えられた「幹」の部分は、会社の「組織」です。組織とは会社を構成する社員たちであり、その人たちによるチームワークです。企業文化や企業風土と呼ばれるものもここに含まれます。
さらに幹の先には「枝」があります。ここは「競争」に勝つための戦略を担う部分です。どんな果実をつくって、いかにお客さんと結びつけるか、どうやって優れた果実を効率よく実らせるかなどを考え、実行していきます。
しかし、いくらすばらしい競争戦略を考えても、組織がダメだと顧客を無視した商品しか生まれません。まして、使用期限の切れた材料を使ったり、整備不良の飛行機を飛ばしたりするなどして、会社の責任を果たさなければ、あっという間に信用を失います。
経営計画を立てることとは、「責任」「組織」「競争」を大事にして、それぞれについての戦略を考えることでもあるのです。